:: こどもの急な病気と対応

はじめに


こどもたちにとって、いちばん身近なお医者さんは家族の皆さんです。
こどもたちと長い時間を一緒に過ごしている皆さんは、どんな医師よりも断然こどもたちのことを理解しているはずです。
今まで一緒に過ごすことで得たたくさんの情報を元に、ちょっとした変化を感じ取ったり、過去の状況を思い出して適切に対応してあげてください。
こどもたちにとって、気付く、ということは何より大切なことです。
こどもに多い症状と対応をあげさせていただきました。参考にしていただければと思います。
実際に医師の手助けが必要となった場合には迷わず早めに受診することをお勧めします。


:: かぜ(発熱)

こども(特に乳幼児)の平熱は36.5〜37.5℃とおとなと比べて高く、38℃を超えると病的な発熱と判断します。
一般に“かぜ”と呼ばれる感染症にはウイルスが原因になる場合と、細菌が原因になる場合がありますが、“かぜ”のほとんどはウイルスが原因です。
インフルエンザと水ぼうそう以外のウイルス感染症には特効薬はありませんが、一般的には軽症で経過します。
安静、水分補給、症状を抑える薬(解熱剤、せきや鼻水などを抑える薬)などを用いて、自然回復(一般に2〜3日)を待ちます。
細菌感染症(黄色の鼻水、たん、中耳炎症状)は肺炎など重症となることがありますが、抗生剤が有効です。
以下のような場合は早めに病院を受診してください。

3日以上持続する発熱(肺炎など細菌感染症を合併している可能性があります)
尿量低下(普段の半分程度が目安)、機嫌不良、けいれんなどを合併する発熱
呼吸困難(強いゼーゼーなど)を伴う発熱
40℃を超える発熱(重症感染症の可能性があります)
生後3カ月未満の発熱(重症感染症の可能性があります)
発疹を伴う発熱(水ぼうそう、川崎病などの可能性があります)
細菌感染症(黄色の鼻水、たん、中耳炎症状)が疑われる発熱
インフルエンザや水ぼうそうが疑われる場合(治療薬があります)


:: 嘔吐 ・ 下痢

こどもの嘔吐・下痢のほとんどは、ノロウイルスやロタウイルス感染などのウイルス感染症です。
ウイルス性のため特効薬はありません。
水分補給、症状を抑える薬(吐き気止め、整腸剤など)を用いて、自然回復(一般に1〜2日)を待ちます。
以下のような場合は早めに病院を受診してください。

尿量低下(普段の半分程度が目安)、機嫌不良など脱水症が疑われる場合
便に血が混じる場合(大腸菌など細菌感染症の可能性があります)
強い腹痛を伴う場合(腸重積、虫垂炎など対応を急ぐ病気の可能性があります)


:: 皮膚の発疹(湿疹)

急に皮膚に発疹やかゆみが出現した場合、一番多い原因はじんま疹です。
じんま疹は食べ物やお薬などによるアレルギーが原因となることが多いですが、疲れなど体調不良時には、特に原因なく合併することがあります。
かゆみ止め、抗アレルギー剤、日常生活指導(生ものを避ける、体が温まることを防ぐなど)にて、自然回復(一般に1日以内)を待ちます。
以下のような場合は早めに病院を受診してください。

ゼーゼーなど呼吸症状を伴う場合
じんま疹が全身に出現し、持続する場合


:: 最後に・・・

上記を含めこどもの状態全てに共通することは以下の通りです。
食欲があり、尿量や機嫌も保たれているときは急ぐ病気の可能性は少ないです。
一方、尿量低下(普段の半分程度が目安)、機嫌不良、顔色不良を伴う場合は重症な状態の可能性があります。
判断が難しいときは、お気軽にご相談下さい。
かかりつけ医として、しっかり対応させていただきます。